テキストサイズ

KIND KILLAR

第7章 What you see in your eyes

外に出ると、ぽつぽつと雨が降り出した。



そして。



ザアアアアアアア・・・。



ふらふら歩いているうちに、いつの間にか小雨どころじゃなくなり始めたんだ。



でも、当然傘なんか持っているはずもなくて。



『ねぇ、ママ?あのお兄さんはどうしてこんな雨なのにレインコートを着ていないの??』



小さな女の子に後ろ指さされる始末だ。



『あんまりじろじろ見ては失礼よ。・・・あ、そうそう。今日のディナーは何がいいかしら??寒いから、シチューとか?』



『ビーフシチューがいいわ、ママ。』



『そうね、そうしましょうか。』



『やった!!』



幸せそうに、オレなんか見向きもしないで、追い越していく親子。



カミヤマさんの子供も、見た感じアレくらいの年齢だったな。



きっと彼は、家ではいいお父さんなんだろう。



優しいし、賢いし、かっこいいし・・・。



O「これで、よかったんだよな・・・?」



あの子や、彼のためにも・・・。



そう吐き出した弱音は、雨音にかきけされた。









彼に銃口を向けた瞬間、その顔を見て、たくさんの思い出がフラッシュバックした。



彼の甘いキス、優しい瞳、汗ばんだ手・・・。



ひとつひとつの思い出すべてが、オレを支えているのに気づいたんだ。



そしてわかった。



殺せない、って。



彼を殺すことは、彼とオレとの思い出全てを消すってこと。



そんなのできっこなかったんだ。



その瞬間、銃弾は、きっちりど真ん中を貫いた。



彼の後ろにあった、写真たてのど真ん中を。



K「・・・あれ、、。」



狸に化かされたような顔をして、彼がオレの方を見ているのを尻目にかけて。



O「もう、二度と、オレに関わらないで。」



出来るだけ厳しいカオをつくって吐き捨てた。



でもね、こんなの嘘。



ホントはもっともっと一緒にいたい。



・・・でも、もう終わらせなきゃいけない。



このまんまだと、愛しさが憎しみに変わって、箍が外れそうだもん。



顔を合わせると、そう本音がこぼれてしまいそうだったから。



彼に背を向けた。



『ばいばい。』



そう心の中でつぶやいて。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ