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KIND KILLAR

第8章 wake up from a dream


ぴくり、と翔くんの眉が動いた。



O「前の前にいた国で、ね。とうちゃんと、かあちゃんを殺したやつへの復讐に、お金が必要だったんだ。」



そう言って、洗いざらい話した。



カミヤマさんを愛したこと。



裏切られたこと。



それ以来、人を信じられなくなったこと。



自分の古傷を人に語るのは、それだけで傷口が膿んでいくようで。



ぽつ、ぽつ、としか話せなかったけど。



そんなオレの話でも、翔くんは身動ぎもせずに聞いてくれた。



ようやく全部話し終わった時。



翔くんがどんな表情をしているのか。



軽蔑してるのかな、気持ち悪いと思ってるのかな。



怖くて彼を見れないオレ。



下を向いて、固く目をつぶっていると。



ふわ、と翔くんのオーデコロンの香りがして。



近づいてきた彼の温もりは、優しくオレを包み込んだ。



そして。



S「智くん……ごめん。」



絞り出すような声で彼は謝った。



O「なんで翔くんが謝るの…」



ビックリしてオレの肩に顔を埋めている彼を見ると、



S「いっぱい、いっぱい傷つけたよね。ごめん。ごめん…智くん……。」



そう言って、大きな目から、ぽろぽろぽろぽろ涙を零していた。



O「しょぉくん……泣かないで?オレも酷いことした…。ごめん。」



オレよりもずっとずっと賢くて。



オレよりもずっとずっと大人な彼は。



オレの腕の中で、グズグズと子どもみたいに泣き続けた。



ごめん、ごめんって言って。



オレなんかにしがみついて。



それを見てると…



ああ、これか。



ってなったんだ。



にのが言ってた、オレが翔くんにチューした理由。



翔くんを愛おしいと思ったからだ。















オレが、翔くんを、好きになったからだ。

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