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KIND KILLAR

第5章 What is this feeling?

O side



高校に入るまでは、大親友と言えるほどの人はいなかった。



別に友達がいなかった訳ではないよ?



でも、母ちゃん曰く「自由人。」なせいで、ずっとオレに付き合ってくれる人がいなかったんだ笑



まあ、それに特別不満も抱かなかったし。



中学生の時は、このままずーっといろんな人と付かず離れずの距離で生きてくんだろーなー。とか思ってた。



でも。









「新入生代表挨拶、櫻井翔。前へ。」



ぼーっとパイプ椅子に座ってウトウトしていた入学式の日。



綺麗な名前が耳に飛び込んできた、その時。



顔を上げて、ゆっくりと壇上に上がっていく彼を見た時から、歯車はゆっくりと回り出したんだろう。



さくらいしょう。



くりっとした瞳、プルプルの唇にふわふわの金のメッシュ入りの髪だけでも人の目を惹くってゆーのに。



おまけに。



S「本日は我々のためにこのような盛大な式を挙行していただきありがとうございます・・・。」



新入生代表挨拶をするほどの秀才。



今までウトウトしてた女の子たちも、さくらいの顔を見て、次々と息をのむ。



そりゃそうなるわな、イケメンで、賢そうで?



オレでも惚れるもん。



まあ、当の本人はというと、そんな女子たちの視線に気づいているのかいないのか、ニコニコと笑顔を振りまいているけど・・・。



O「つくりもんかよ。」



オレは、昔から初対面の人の表情を読み解くのが、得意だった。



正直、わかりにくい人なんて今までいなかったのに。



はじめて出会った。



こんな完璧な人形を演じるヤツ。



笑顔も作り物、発言も、行動もなにもかも虚像。



その真意を汲み取ろうと、じーっと見つめていると・・・。



O「・・・っ!」



くりくりの瞳がオレを捉えて、細められた。



やべぇ、見すぎたっ。



慌てて地面を睨みつける。



S「・・・以上で新入生代表挨拶とさせていただきます。」



拍手が鳴り響く中、そろぉっと目だけで様子を伺うと、またまたこっちを見ている。



勘弁してよ・・・。

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