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ピンポーン

来客を告げるエントランスからのチャイム

時計を見ると23時を示している


…こんな時間に誰だよ

疲れもあったし、非常識な時間の来訪に
俺は無視を決め込んだ

だけど、相手も諦めが悪いのかチャイムを鳴らすのを止めようとしない


「あーっもう、うるせぇな！！」

しつこく鳴るそれにイライラが募る
でもほっとくと、まだまだ続きそうなチャイムの応酬に仕方なく立ち上がると


「…はい」

これ以上ないくらい、不機嫌な声で応対した

モニターに映し出されたのは、帽子を目深に被った男

…反応した途端、パッと顔を上げたのは



「いるんじゃん、開けてよ」


ニカッと笑う、潤だった


「え、潤？！、なんでっ？」

その姿に動揺するのは仕方ないだろ

だって気まずいまま別れた後の、この来訪に

…この笑顔


潤は一体何を考えてる？


ただ

今、家に入れてしまったら
俺も冷静でいられるか分からない



ー…傷付けてしまうかもしれない