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「で、美術室に何の用？」

確かコンクールとかはまだなかったと思ったけれど


一応校内を巡視した時も、忘れ物らしきものは見当たらなかったような…



「スケッチブック」

「え？」

「いつも持ち歩いてるやつ、多分忘れてるんだ」

…そう言えば、大野はいつも大きめな薄いバッグを持ってた気がする

確か…

「青いバッグ？」

青っつーか群青色？

「そうそう、ってか先生良く見てんね」

大野が驚いたように目を丸くする


…まさかお前が気になって、しょっちゅう目で追ってたなんか言えないから


「バッグがデカイから目立つんだよ」

慌てて適当に誤魔化しておいた



「…先生何で顔赤いの？」

「へっ？」

面白そうに笑う大野

思わず両手で頬を抑えると、ずいっと大野が顔を近付けた


「…先生ってさ」

「お…大野？」

それこそ、ちょっと動いたらキスしそうな位に近い大野の唇に、思わず目が奪われる



「いっつも、俺の事…見てるよね？」

“知ってるよ“

そう言って、少し目を細めるその顔が


ー…やたらと妖艶に見えたのは何故だろうか