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グイグイと腕を引っ張られ

最初こそ

「こら、ちょっと待て！」
なんて言って制止しようとしたけれど

美術室の中をゆっくり見た事がないのを思い出して

すぐに "見てみるのもいっか" と思い直した


それに、大野がどういう絵を描くのか興味もある


途中で力の抜けた俺に、振り向いた大野が


「諦めました？」

……嬉しそうに笑って見せた


「うっせ
…担任として、お前の絵が見たくなったんだよ」

そう返した俺に、大野はまた笑って

それでも掴んだ腕は離さないまま、二人で美術室に向かった




鍵を開けて、ガラガラと扉を引くと

絵の具やらの独特の匂いが中に立ち込めていて


いくつかのキャンバスには、描きかけの絵が立てかけられていて

中にはなかなか凄いな、と思わせるものもあった


「これ……」

その中に何て事ない風景画なのに、やけに引き込まれる絵があった


鮮やかに彩られてるのに、どこか寂しくも見える
それ


空に描かれた鳥のせいだろうか



…何故かそこから目が離せなかった