無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

「センセ、どしたの？」

すっかりその絵に魅入られていて、隣に大野が立っている事に気付かなかった

「うわっ！気配消すなよお前っ」

突然間近で声を掛けられて、ビクッとしてしまう

「消してないよ、さっきからいたけど？」

呆れたような声を出した大野が、"あ… " と呟いた


「ん？」

「それ、俺が描いたやつ」

俺が目を離せなくなっていたそれを指差す大野が
小さく笑う


「マジか…」

「うん」

「すごいな…」

素直にそう口に出していた

絵心なんかまるでない俺でも引き込まれるのが信じられなかった

「なんか、恥ずかしいや」

大野の顔が少し赤くなる


「感想とか言われても困るけどな」

その気持ちをごまかすように、少しおどけて見せる

「ねぇ…センセ？」

大野が俺の前に立った

まだ赤い顔のまま、目を細めている

その顔は、さっきも見せた妖艶さを纏うそれで


「大野…？」

「大人のキス、してよ」

…今、何て言った？

「お前、大人をからかうなって…」
「からかってない！」

大野は、俺の首に腕を巻き付けると


背伸びをして俺の唇を噛み付くように塞いできた