今日も明日も 2nd season
第34章 愛しい人 *赤+紫×青*
チャイムは鳴らさず、潤から鍵を借りてそっと開ける
潤が廊下の電気を点けたとこで
「智くん?」
少し大きな声で、名前を呼んだ
だけど
全く彼が出て来る気配はない
電気を消さずに帰った?
…それも有り得るな
後ろにいる潤を見ると
「鍵閉まってたから帰ってないと思う」
ー…合鍵はないから
家主が言うなら間違いはないだろう
俺は廊下の先の、リビングに続くドアを開け
「智くん…?」
もう一度、いるはずの彼の名前しか呼んだ
「…いない?」
「寝室かな」
今度は潤が先に歩き、リビング奥にある寝室へ足を向ける
音を立てないように静かに開けて、中を覗いた潤が
「…寝てる」
俺を振り返り、苦笑いを浮かべた
潤の後ろから中を見れば
小さく丸まって、布団も掛けずに眠る智くんがいて
「…なんだかなぁ」
思わず俺も吹き出しそうになった
怯えたようなあの声は何だったんだ
身を守るように眠る姿は儚げには見えるけど
…知らないと言った場所で寝てる智くんが俺には到底信じられなかった
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