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風鈴の夏

第3章 俺と僕

俺はたこ焼きを選んだ。
俺はたこ焼きが大好物だ。
小さい俺も多分、好きなハズだ。
俺が帰るとユウくんのいたところに若い、多分俺と同じぐらいの数人の男が居た。  

「お金払って貰おうか?」

「あっ、ごめ…」

「はいはい、ちょっとこっち行こうかな?」

俺はハッとし、声をあげる。

「ユウくん!」

「お兄ちゃーん!」

ユウくんは俺の後ろに隠れた。

「何があったの?」 

「そのガキが俺にぶつかったんだよ。」

若者の1人が言う。
金髪のいかにも柄の悪い男だ。

「だからって幼い少年にやり過ぎやしないか?」

大人げないなと俺は思いながら穏便に済ませようと冷静に静かに言う。
するとリーダー格の男が言う。

「小さな子供を守る王子さま気取りか?俺、お前みたいな顔が悪くなくて良い子ぶってる奴、1番…」
 
「ムカツクってか?」   

俺はズバリと言い当ててみせた。
そしてジロリと睨み低く多少ドスのきいた声で言う。 
優馬がたまに俺に言っていた。

『お前って怒らすと本当に怖いよな。』
 
優馬、ありがとう。
怖くて上等だ。

「お前が俺にムカつこうがなんだろうが関係無い。だが、ユウくんに手を出す奴は容赦しない。それでも良いならかかってこいよ、ホラ。」

ユウくんは俺自身だ。
彼に手を出すのはイコール俺に手を出すことになるんだからな。
男は情けない顔をしていた。

「ああ、あの、えーっと…」

「もうそのツラ、俺に見せんな。次会ったら、地獄まで送ってやるよ。覚えておけ。」

男たちは真っ青になって逃げ出した。
俺はクルリと振り返るとユウくんに笑いかける。

「大丈夫?怖かったね。」

「うん。大丈夫。でも、あの人たち…」

「ったく、意気地無しだよな。こっちは俺と小さなユウくんだけ。相手は3人。負けるハズ無いじゃん。」

俺は小さな子が安心するような笑顔を見せ、たこ焼きを差し出した。
ユウくんは嬉しそうに

「ありがとう!ボク、たこ焼き大好き!」

そう言って満面の笑みを見せた。

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