
風鈴が鳴る時
第1章 い
眼鏡をかけた白髭の老人が一人で細々とやっている小さな道具屋。今日も、客のいない店内で小さな椅子に腰掛けて店番をしている。そこへ、金色と紫色の縦じま模様、という派手なスーツを身にまとった小太りの中年男が入店してきた。
「よぅ、じいさん。今日は何か面白いものはあるかい?」
「そうですなぁ…。今日はちょいと珍しいものが入荷しとりますよ。面白いかどうかは分かりませんが、見ていかれますか?」
「珍しいもの?」
「えぇ。持ち主の望みを叶える不思議な力を持つ、と言われている風鈴です」
「…ほぅ」
男はサングラスを外し、目を光らせた。
「見せてくれ」
興味津々といった表情だ。
「かしこまりました。…しばしお待ちを」
店主はゆっくりと立ち上がり、腰を伸ばした。それからゆっくりと店の奥へ入っていく。1人になった男は、サングラスをかけ直し店内を見回す。
茶釜、信楽焼のたぬき、熊手、紙製の入れ子の箱、青銅の鏡、燭台、煙草盆、蓄音機、タイプライター。相変わらずカオスな店内だ。
「お待たせいたしました」
小さな桐箱を持って店主が戻ってきた。
「こちらでございます」
スッと桐箱の蓋をあける。
「…これか?」
そこには男の想像していた風鈴とは全く別のものが入っていた。
「よぅ、じいさん。今日は何か面白いものはあるかい?」
「そうですなぁ…。今日はちょいと珍しいものが入荷しとりますよ。面白いかどうかは分かりませんが、見ていかれますか?」
「珍しいもの?」
「えぇ。持ち主の望みを叶える不思議な力を持つ、と言われている風鈴です」
「…ほぅ」
男はサングラスを外し、目を光らせた。
「見せてくれ」
興味津々といった表情だ。
「かしこまりました。…しばしお待ちを」
店主はゆっくりと立ち上がり、腰を伸ばした。それからゆっくりと店の奥へ入っていく。1人になった男は、サングラスをかけ直し店内を見回す。
茶釜、信楽焼のたぬき、熊手、紙製の入れ子の箱、青銅の鏡、燭台、煙草盆、蓄音機、タイプライター。相変わらずカオスな店内だ。
「お待たせいたしました」
小さな桐箱を持って店主が戻ってきた。
「こちらでございます」
スッと桐箱の蓋をあける。
「…これか?」
そこには男の想像していた風鈴とは全く別のものが入っていた。
