愛するあなたよ、この手を離さないで
第1章 この手を離さないで
足枷を外され、手錠も外された。
久しぶりに感じる身軽さ。
「着いてこい」
そう言われて立ち上がる。
後ろの壁にあるモニターを見ると『0』から『1』になっていた。
私を選んでくれた人がひとりいる……?
一体、誰だろう。
誰に拾われたんだろう。
扉を出て長い廊下を進むと、見たこともない明るい光が待っていた。
「――莉音……!!」
笑顔で迎えてくれたのは廉だった。
ずっと会いたくて、夢見ていた人。
廉は5年も経っているのに私を覚えていてくれた。
「お待たせ。莉音のこと、やっと見つけられた。どこを探してもいなかったから、ずっと心配していたんだぞ」
「……」
「仕事が忙しくて早く迎えに来てやれなくてごめんな」
愛おしいようにギュッと抱き締められた。
また会えた……――
夢が叶った嬉しさで涙が滲む。
死を免れたことよりもこの人に会えたことがとてもとても幸せで。
夢を諦めないで良かった、本当に良かった……。