愛するあなたよ、この手を離さないで
第1章 この手を離さないで
手を引かれて私は真っ暗な世界から出ることができた。
久しぶりに見る太陽が眩しい。
明るくて、広くて、温かい、自由な世界。
懐かしい家に帰り、窓を開けると爽やかな風が吹いて風鈴を鳴らす。
この音が好き。
聞き耳を立てていると、彼が私の頬にキスをしてきた。
嬉しくなって彼の胸に飛び込むと、廉が強く私を引き寄せる。
「莉音、これからもずっと一緒だぞ。……愛してる」
「うん、一緒にいたい。私も廉のことを愛してる」
愛を呟いてから、お互いの手を握った。
もうこの手を離さないで。
私もあなたの手を離さないから……――
【 E N D 】