笑い、滴り、装い、眠る。
第7章 雨の日は家にいて
潤『ごめん。今起きたばっかりでぼーっとしてて…』
「そうだった!時差があるんだったね?」
潤『気付くの遅くね?』
互いに笑いあった後、無意識にため息をついてしまった。
潤『どうした?カレシとケンカでもしたか?』
「かっ……!!カレシ、って…?」
電話の向こうで潤が声高に笑い飛ばす。
「そんなに笑うことないじゃん?」
潤『ごめんごめん。…そっか…ケンカなんてするんだな?』
「え…?」
潤『いや…だって、俺と付き合ってた時はケンカらしいケンカなんてしなかっただろ?』
「そうだっけ?」
いっつも潤にからかわれて、怒ってた記憶はあるけど。
潤『そうだよ?誰かに相談しなきゃならないほどのケンカなんてしたことないだろ?』
「言われてみれば…」
潤『…それだけ智が今のカレシのこと、好きだ、ってことなんだろ?』
「だっ…だから、カレシじゃない、ってば!」
潤『朝っぱらから電話なんて、って思ってたら、のろけ話とはなあ…』
「だから、違う…」
潤『…ちゃんと捕まえてろよ?ソイツのこと。』
「え?」
潤『あーあ、俺も追っかけられたかったなあ。智に?そしたら今頃まだ…』
「潤…」
潤『…悪い。もう切っていいか?これ以上智と話してると俺…』
僕に聞こえないようにしたんだろうけど、
微かに鼻を啜る音が聞こえた。
潤『じゃ…』
「…うん。」
「また連絡する」って言わないんだね?
がんばれよ、って…
小さく聞こえた後はもう、電話の向こうから潤の声を聞くことはなかった。
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