笑い、滴り、装い、眠る。
第8章 花梨―唯一の恋―
俺の体が宙に浮いてることもそうだけど、
目の前に、濃い顔があることに輪をかけてビックリしてしまう。
自分は今、どんな状況なんだ?と、動かせる範囲で首を動かすと、
体をシーツにくるまれた俺は、
准一に姫抱っこされていた。
准「お前、ちゃんとメシ食ってんのか?軽すぎだろ?」
いやいや…てか、お前、何で俺を姫抱っこ……
准「しっかり掴まってろよ?」
と、言われた通り、鎧みたいな体にしがみついた。
准「俺がキレイにしてやるからな?」
と、スゴい近い距離で笑いかけてくるから、思わず顔を背けてしまった。
しかも、フツーに家の廊下歩いてるし?
誰かに見られたどーすんだ!?
ってな感じで睨み付けてやると、何を勘違いしたのかキスしてきやがった。
しかも、チュッとか音がするぐらいのヤツを!?
「お前…アホだろ?」
准「お前、アホはないだろ?恋人に向かって?」
「はあっ!?誰が恋……」
何かに気づいた准一が足を止める。
准「今日は早いな?」
翔「もうすぐテストなんだ?」
それじゃ、と、気配が遠ざかる。
すれ違い様に俺に視線を投げかけながら。
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