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笑い、滴り、装い、眠る。

第16章 a little guy



そんなことがあった後日。



俺は大野くんの家に訪れた。



もちろん、家庭教師なんだから勉強を教えるためなんだけど。



だが、出迎えてくれた母親は顔を曇らせながら言うには……。



母「こちらからお願いしておいてなんですけど、家庭教師の話、お断りしてほしい、って?智が。」


「……そうですか。」



ある程度予想はしていたものの、俺の中のモヤモヤが晴れたわけではない。



本人と話をさせてほしい、と、半ば強引に家に上がらせてもらった。



でも、確かめてどうするつもりなんだ?



もし、松本が言ってた通りだったら……?



……そんなはずない。



このぐらいの年齢なら有りがちな、同性に憧れを抱く的なヤツだろ?



そうだよ?そうに違いない。



それを確かめるために、俺は緊張しながら大野くんの部屋のドアをノックした。



返事はなかったが、一言断りを入れ入室する。



大野くんはベッドの中に潜り込んでいた。



俺はいつものように勉強机の側に椅子をおき問題集を広げたところで大野くんの側へと歩み寄る。



そして、ちょうど頭が隠れているであろうところに手をそっと置くと、ピクリと反応した。



そのままその場にしゃがみこみ静かに息を吐く。



「あの…そのままでいいんだけど…」



いざ、話をしようと意気込んでは来たものの、言葉を選びすぎて中々出てこない。



けど……



「少し……時間をくれない?」



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