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笑い、滴り、装い、眠る。

第16章 a little guy



え?あ?なに言ってんだ?俺?



「時間をくれ」だあ?



違うだろ?



誰しも一度は通るであろう、同性に憧れを抱く時期なんだ、と、諭すんじゃなかったのかよ?



しばらくすると、シーツの塊がごそごそと動いて、泣き腫らした顔の大野くんが顔を出した。



そして「分かりました」と小さく返事をした。



……放っとけない。



確かにそんな気持ちもあった。



「宿題、ちゃちゃっと終わらせようか?」


智「……はい。」



無理に笑顔を作ると、大野くんはモソモソとシーツの中から出てきてくれた。



この問題が半永久的に先送り出来るとは思っていない。



近い将来、現実を突きつける形で結論が出るのかもしれないけど、



今は目の前にあることをこなしていくだけだ……。







潤「どうしてるかなあ、アイツら?」



秋晴れの空を見上げながら松本が呟く。



「何だよ?従兄弟の友だちだからたまに会ったりするんじゃないのかよ?」


潤「……そういうお前はどうなんだよ?」


「え?」


潤「……惚けんなよ?分かってんだろ?」


「……会ってない。」


潤「『会ってない』じゃなくて『会いづらい』んだろ?日本語間違えてるぞ?」



そんなんで受験大丈夫なのか?と、鼻で笑われた。


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