笑い、滴り、装い、眠る。
第16章 a little guy
それからは大野くんのお菓子作りのスキルは上がる一方で、勉強より上達しているような気がしていて少し複雑ではあった。
だったが…
智「ねぇ、食べてみて?」
「おおっ。うまそう♪」
智「櫻井さん、チーズケーキが好きだ、って聞いたから?」
「どれどれ。」
チーズケーキ特有の酸味と甘味が絶妙で、
俺は口の中であっという間にとけてなくなってしまったというのに、その一口目の感動をしばらく噛みしめていた。
和「うん。絶妙ですね?」
二宮は一口食べただけでそれらをコーヒーで流し込んだ。
なんでこいつがいるのかって?
和「俺のお袋がこれだけ筋がいいんなら、料理も教えてあげようか?って言ってますけど?」
智「それは嬉しいけど、受験勉強しなきゃだから?」
和「ですよねぇ。ダーリンとのディズニーランドデートがかかってますもんね?」
智「さ、櫻井さんはダーリンなんかじゃ…」
ダーリン「なんか」?
和「俺、櫻井さんがダーリンなんて一言も言ってませんけど?」
智「と、とにかく、違うの!!櫻井さんは。」
そんなはっきり否定しなくてもよくね?
……って、俺、何考えてんだ?
和「……そうすか。」
そう。俺は無事、志望する大学に合格し、大野くんたちも中学三年生。
高校受験だ。
で、今年からまた、大野くんの家庭教師を再開することになっていた。
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