笑い、滴り、装い、眠る。
第16章 a little guy
「えっ?」
まさか……問題集、たくさんやらされるとか?
翔「言っとくけど……」
いつもみたいに頭をぽんぽんされた。
翔「この問題集、全部おわらせろ、とか、そういうことじゃないから?」
あ、そうなんだ?
僕がほっとしたように笑うと櫻井さんも笑ってくれた。
それよりも、櫻井さんに頭をぽんぽんされる方が不思議と落ち着く。
まるでおまじないみたいに。
翔「出よっか?」
「は…う、うん。」
会計を済ませ店外に出てから、櫻井さんが小さく残念、と呟いた。
どんな「ペナルティ」を考えてたのか気になったけど、
寸でのところで回避できたらしいことに安堵した。
翔「ところで、さ、今週末なんだけど……家に来ない?」
「え?何で?」
翔「いや…何で…って…たまにはいいかな?って。」
それ、って、いわゆる、「お家デート」のお誘い、って、こと?
二宮くんから聞いたことあるかも。
和「櫻井さんが家庭教師してる、ってことは、定期的に大野さんちでお家デートしてるみたいなもんですよね?」
って。
じゃあ、僕の家から櫻井さんの家に場所が変わるだけだから特に問題はないかな?
そう思って僕はその申し出を快く引き受けてしまった。
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