笑い、滴り、装い、眠る。
第16章 a little guy
翔「あ…あのさ…」
「あ…はい。」
翔「べ…勉強しているとき以外は…敬語とか止めない?」
「はい…じゃなくて…うん。」
翔「それと……呼び方だけど…さん付けとかも。」
「でも……なんて呼べば…?」
翔「そうだなあ…」
櫻井さんは頬杖をついたまま遠くを見るように呟いてから、じゃあ…と切り出した。
翔「『翔くん』で。」
「え?でも……」
年上の人を?
翔「俺も君のこと『智くん』って呼ぶから?」
「そんな『翔くん』なんて…年上なのに?」
翔「でも、さん付け、って、堅苦しくない?」
「そうかもだけど…」
翔「あのさ…俺ら…付き合ってるんだよね?」
「はあ…」
こんなこと言わせんなよ?って感じで櫻井さんは頬を赤くしながら僕のことも見ずに言った。
「じゃあ……わ……かりました。」
そう返答した瞬間、櫻井さんが小さく息を吐いた。
翔「そこでなんだけど、提案があるんだ。」
「何ですか?」
少し口をもごもごさせたあと小さく咳払いをし、櫻井さんは僕に向き直った。
翔「君がもし、俺に対して敬語を使ったりしたら、ペナルティ、ね?」
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