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ドラクエらんど【番外編】

第1章 1

「ついに頭おかしくなったか」

「…いや、あんた、すごいよ。尊敬する」

「ああん?」



脇田は一気に空気を変えてくれた。
僕を現実に引き戻してくれたんだ。



シュンはもういない。
この現実では、いないんだ。



「マナトは足手まといになるからな、そこで見とけ」



僕はムッとしたが、脇田の戦い方を見ることにした。
落ち着けばよくわかる、モンスターは5体いた。それを次々と倒していく脇田。無駄のない動きだ。3体倒すとマヌーサの効果はなくなり、全体が見渡せるようになった。



「マナト!」



風と鈴は全く違う場所にいて無事だった。
どうやらさっき僕が斬りつけたのはモンスターだったらしい。
風じゃなくて本当に良かった。
全て一撃で倒すと、脇田は渋い顔をしながら僕たちの方に歩いてきた。



「ワッキー、無事で良かった!」

「あほか、わいの心配なんて百年早いわ!」

「レアモンスターは倒したの?」

「まだや。ちゅうか、どこにもおらんかった。ガセネタか? 酒場に戻ってねーちゃんに問い詰めなあかんな!」



とりあえず僕たちはダンジョンから出ることにした。と、その時…



「うわああああああっ!!」



どこからか叫び声が聞こえてきた。



「上や!」



僕たちは二階から一階に上がった。
きっとさっきの叫び声は、僕たちに忠告してくれたプレイヤーの人たちだろう。



角を曲がり少し広い空間に出ると、天井スレスレの巨人が大きなこん棒を振り回し、プレイヤーたちを次々と投げ飛ばしていた。



「トロルや!」



脇田が嬉しそうに巨人トロルに向かって走って行く。



「ちょっ…あれがレアモンスター!?」



鈴が口をあんぐり開けている。
僕たちが戦うにはレベルが違いすぎる。
仕方ないのでトロルは脇田に任せて、僕たちは補助に回ることにした。



とりあえず薬草を使って、プレイヤーたちを回復させる。そして回復した者たちから脇田のフォローに回ってもらう。脇田は「余計なことすなや!」って叫んでたけど、そんなこと言う余裕あるんだと思いながら、僕も剣を握りしめた。



「マナト…無理しないで」



僕の思惑に気づいたのか、風が心配そうに声をかけてきた。



「大丈夫、無茶はしない」



僕は微笑みながら、自然と風の頭に手を置いた。



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