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赤い糸

第14章 大切な時間


…パシャ

月明かりに煌めいた湯が波を立てる。

「ハウッ…」

その光に照らされた璃子の体はピンク色に輝いていた。

湯を纏った璃子の体を俺の不格好な手が体の線を確かめるようになぞっていく。

俺はこの吸い付くような滑らかな肌が好きだ。

「こっち向いて。」

俺の脚に跨ぐように座らせ熱を帯びた体を密着させると

「…京介さ…」

璃子は自ら俺の唇を塞いだ。

これは酒の力なんだろうか…それともずっと隠してきた本能なのか…

細い舌先を少しだけ俺の口内に忍ばせて唇を押し付けてくるコイツは

「ヘタクソ。」

なんだけど…

「…んうっ…」

すげぇそそられる。

俺は腰を滑らせていた指を璃子の中心へと向かわせ

「…アアっ…京介さ…っ…」

もうしっかりと濡れているだろうそこに一思いに指を突っ込んだ。

しがみつく璃子の耳に舌を這わせながら指先は奥へ奥へと進めて璃子の反応を伺うと

「…ん?どうした?」

フルフル首と腰を震わせて指が動くのを待つおまえ。

「言わなきゃわかないだろ?」

明日のこの時間にはサヨナラのキスをしているかもしれないって言うのに

「…イヤっ…」

虐めてしまうのは男の性なのか…

「イヤなの?」

「…意地悪…」

もっと俺の体に溺れて欲しいって言うか…苦しめたいって言うか…

刻み込みたいって言うか…

「何?もう一本欲しいの?」

「…違っ…アッァ…」

「おまえ欲張りになったな。」

植え付けたいって言うか…

大切な夜なのにそんな陳腐なことばかり考えてしまう。

二本の指を咥え込んだ璃子の中はまだ動かしてもいないと言うのに波を打ち 俺の指を締め付ける。

「璃子…言ってごらん?」

璃子は吐息を漏らしながら俺の首に顔を埋めると

「…好きにしてって…言ったじゃないですか…」

俺をまた煽った。

「知らねぇぞ?」

「…覚悟は出来てます。」

どんな覚悟だよっておまえの限界を知ってる俺は鼻で笑ってしまうけど

コイツも必死なんだと思ったら嬉しくって。

首に埋めていた顔を上げさせると月が璃子を照らしていた。

「じゃあ、俺の好きなように抱くよ。」

「…ハァッ…」

璃子は苦しそうに微笑むと俺の肩に手を置いてまっすぐに見つめながら小さな声をあげる。

…大丈夫だよ。そんなに見つめなくたって俺はおまえのことを忘れないから。

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