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路地裏酒場の占い師

第1章 あ、忘れてた!「お題小説参加作品」(ここに書くな!)

 私の名前は、水龍謎孔(すいりゅうめいこう)。占い師っぽい源氏名でしょ。でも、本名中野多恵子43歳。

 人とネオンで賑わう繁華街の、ひっそりとした裏通りの路地に私が経営するお店があるの。

「スナック夢」

 すべてカウンター席で、八人座ったら、もういっぱい。

 でも、大丈夫。満員になったことないですから。

 それにうちは、一見さん大歓迎。

 いつでも来てね。

 私の占いは、他の占いとはまったく違う。

 夢の石と言う名の水晶玉を使うの。

 この石は、今から4年前、私が見た夢に現れたの。そしたら、朝、目をさましたとき、私、この石を胸に抱いていたの。

 そう、これは私の夢から現れた石。

 これには、私にしか見えないモノが見えてくる。

 それは、あなたの未来かも?

『チリンチリーン』

 ドアベル代わりにかけてある、風鈴が鳴った。お客さまが来たようね。

「いらっしゃいませ」

 ご来店くださったお客さまは、男性。20代かしら?

 あまり、派手さのないごく普通の方ね。白いカッターシャツにジーンズ。首には長袖のカーディガンがかけてある。業界人きどりかしら?

「あの……このお店は、占いもしてもらえるって聞いたんですが……」

「あら、どこから流れたのかしら? そうよ。なんでも占いますわ。でも、うちはこのようなお店をしてるので、なにか1つ注文してくださる?」

 私は、一番端の席にお客さまを案内した。

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