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路地裏酒場の占い師

第1章 あ、忘れてた!「お題小説参加作品」(ここに書くな!)

「あ……じゃあ、アルコール以外のもの、なにかありますか?」

「あら、スナックに来てお酒飲まないわけ? いいわよ。ジンジャーエールなんていかが?」

「あ、じゃあ、それを」

 蒸し器からおしぼりを一本出し、氷が入ったグラスにジンジャーエールを一瓶、栓を抜いて出した。

「おつぎしますね」

「あ、すいません」

 私は、長い髪を後ろに束ね、お客さまの前に座った。

「お名前と生年月日を教えて」

「はい……関空成太(せきぞらなりた)平成4年8月9日」

「関空さんね。どんなお悩み?」

 関空さんは、ジンジャーエールを一口飲んで、私の顔に目を向けた。

「実は、うちの父親について悩んでまして」

「あら、お父さん。なにかあったんですか?」

「はい、ここんとこ、少しおかしくて……」

「どうされたんです?」

「昨年退職したんですが、私の顔を見るたびに、俺はパイロットだった、俺はパイロットだった……て、言うんです」

「お父さんは、なにをされてた方ですか?」

「はい、飛行機の操縦士です」

「お帰りください」





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