『もっとぐちゃぐちゃにして、』第3章「傷は舐めあうもので」　11ページ

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もっとぐちゃぐちゃにして、

第3章傷は舐めあうもので

「このワイン、美味しい。なんて名前なの？」

「なんだっけ、読めねぇや」

「あはは、自分で買ったんじゃないの？」

「ん～、貰い物だった気もする…」

はは、と二人して笑いあう。あの後、お互いに度数の高いお酒を飲むのが好きということですっかり意気投合してしまった。
バーに誘われたはいいものの、お互いに部屋着のような格好だあったため助けてくれた男性、佐野秀一さんの自宅にお邪魔させてもらうことになった。

「あ、バーボンある。開けよっか」

「飲んでいいなら、ぜひ」

「俺が誘ったのにだめっていうわけないだろー？」

ふふ、と笑いながらもう残り少なくなってしまったワインを飲みきってしまう。
佐野さんとはいろんな話をした。住んでるところやあのコンビにの話、仕事や私生活のいろんな話をした。

…今日言われた言葉に関しての愚痴を零してしまうほど、佐野さんは聞き上手で、身を委ねたくなるような人だった。