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もっとぐちゃぐちゃにして、

第3章 傷は舐めあうもので

佐野さんはバーボンのキャップを開きながら私に話しかける。

「でもさー、酒強い女の人が可愛くないとは限らないじゃん?お酒弱いのと可愛いのはイコールじゃないと思うんだけどね」

「! やっぱりそう思うよね!」

「ショックだった?」

「…もうすでに結構飲んでたタイミングで言われたから、お前は対象外だって言われてるみたいで」

思い出しても嫌になる。同じフロアだから、会った時が気まずい。主に私だけが、だが。

「むしろ俺だったら酒強い女の人のほうが好きだなー」

「え?なんで?」

佐野さんはうーん、と悩んだあと少し笑って答えてくれた。笑うたびに頬にできるえくぼが可愛らしい。

「俺が度数高めのお酒大好きだからさ、一緒に飲んだりしたいのとー、もしそういう子が彼女になったとして、会社の飲み会とかで送り狼されたりしないじゃん?」

「なるほど〜…!」

そういう見方もあるのか。なんだかストンと腑に落ちてしまって、心が軽くなった。1人でウジウジせずに佐野さんの家に来てよかった。

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