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もっとぐちゃぐちゃにして、

第7章 苦い気持ちと甘いチョコ

「あ~間に合った…」

「どうかされましたか?もしやミスが見つかって…?」

急いできた様子で、ゼエゼエと息も絶え絶えに呼吸あうる先輩にそう問うと、違う違う、と手をひらひら振られた。

「高城と一緒にお昼食べようと思ってさ」

「…どういった風の吹き回しですか?」

今まで一度もランチに誘われたことなどない。嬉しさよりも、突然なんだ?という気持ちが勝ってしまった私は、無意識でそう言った。

「なに、俺と食べるのやなの?」

「そういうわけじゃないんですけど、今まで誘われたことないのでびっくりしちゃって」

ぷうっと頬を膨らませる先輩にいい訳じみたことを言うと「まあ、そうだな~」と納得された。27歳のアラサー男が頬を膨らませても、なんら可愛くないはずなのに、好きな人のせいで補正が掛かっているのだろう。可愛く見えるのは恋のせいなのか。

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