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巡る季節をあなたと

第2章 相合傘

sideM

やばい、やばい、やばい。

飛び起きて、急いで服を着て部屋に戻った。

俺、酔ってニノを襲った?

まじかよ、人として最悪だ。

合わす顔がない。

なんとか気持ちを抑えて、現場に向かった。

もちろん、ニノもいるわけで。

「お、おっす」

「おはよ」

ぎこちない挨拶を交わす。

「あ、あの、潤くん。」

「ん?」

「今日、仕事の後、ちょっと、いいですか?」

「…いいけど」

絶対、昨日の件だ。

俺、ほんとにニノを襲ったのか?

てか、いろいろ口走ったりしてねーよな?



「潤くん、昨日の…」

「え、あ、ごめん!ほんとに!許されることじゃないと思うけど」

「え…え?」

「俺、ニノのこと傷つけたんじゃない?」

「う、ううん。」

「え、襲ってない?」

「襲われてない」

よかった…

「あの、潤くんさ。酔って、俺のこと…好きって…」

「…」

やっぱり、やっちまってた。

日頃抑えてる気持ちがアルコールによって解放されてた。

「ほんと?潤くん」

「…」

絶対、気持ち悪いと思われてる。

「あの、それ忘れて?なかったことにして?」

「俺のこと、からかったの?」

「いや、違う。違うけど…」


突然、雨が降り出した。

「あ…」

「傘、あります」

ニノが傘をさし、俺に傾ける。

雫が傘を伝ってニノの華奢な肩に落ちた。

「ニノ、ちゃんと入ってる?」

「入ってない」

驚いてニノの顔を見ると、いつになく強い視線でこちらを見ていた。

「入ってないよ、潤くん。この意味、わかる?」

「…え、え?」

「潤くんを濡らしたくない。潤くんが大切だから。」

「ニノ?」

「潤くんが大切…潤くんが好き」


ニノの肩がどんどん濡れていく。

たまらなくなって俺はニノを抱きしめた。

ニノの手から傘が滑り落ちて、雨は俺らの上に降り注ぐ。

「…ニノ、愛してるよ」

「うん」

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