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巡る季節をあなたと

第3章 花火

Mside

和から指を絡ませてくるなんて新鮮でドキドキした。

胸の高鳴りを隠すために、繋いだ指をポケットにねじ込んだ。

「潤くん…たこ焼きあった」

「…うん」

1パック買って、次こそ人混みから出た。

「食べる?」

「うん」

「潤くん、あーんして」

「うん」

目を閉じて口を開ける。

たこ焼き焼きたてだから熱いんじゃないかな

和、火傷するから急に突っ込むのはやめてよ?

ドキドキしながら、たこ焼きの味を思い浮かべる

あのソースの甘辛さ、美味しいよなあ

早く食べたいな

「…あれ?」

なかなか来ず、待ちきれず目を開けると、和は真っ赤な顔で俺の口元を見ていた。

「ど、どうしたの?」

「あ…ご、ごめん!」

「和?」

和がうつむく。

華奢な肩がプルプル震えて…そのまま消えてしまいそうだと思った。

「和」

どうして…どうして夏の花火は夜の闇に呑まれてくんだろう

どうして紅葉は地面に落ちて風に飛ばされ、雪は溶けて跡形もなくなって、桜は…儚く散るんだろう

「…和、いなくならないで」

強く抱きしめる

「潤くん」

消えないで

ずっと…そばにいて
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