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巡る季節をあなたと

第3章 花火

Nside

昨日からドキドキしてた。

潤くんを花火大会に誘う。

案の定、彼は驚いたような顔をしてから、うなづいてくれた。

そして、自分の中にたててたミッションがもうひとつ。

人混みのどさくさに紛れて、自分から潤くんの手を繋ぐ。

だから、ちょっとがっかりしたんだ。

潤くんが人混みから俺を連れ出して。

「あ、あのさ。屋台の…たこ焼き食べたいんだよね」

下手な理由かな?

「うん、行こっか」

潤くんが不思議そうな顔をして人混みへ向かう。

…行け。

そっと、潤くんの袖を掴む。

潤くんは気づかない。

「屋台のたこ焼きってなんかいいよね」

話しかけながら、指を絡ませた。

「!」

潤くんが繋いだ指先に視線を落とす。

「そうだね」

あ…

繋いだ指をジーパンのポケットに入れられる。

潤くんの脚をデニム越しに感じてドキドキしてきた。

ちらっと横顔を見上げる。

すっとした鼻筋、きりっとした眼差し。

整った眉も色っぽい唇も。

…かっこよすぎでしょ。

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