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巡る季節をあなたと

第1章 7月 七夕

sideM

「松本さんは願い事が叶うなら何をお願いするんですか?」

この時期はこの質問が多い。

「グループ活動と個人活動を楽しんでいけたらなと思います」
「健康第一ですかね」
「またツアーしたいですね」

どれも本音だけど、どこかありふれた回答を繰り返す。

「本当の願い事ってなんだろ」

そんなこと考えるまでもなく、決まってるんだけど。

ゲーム機から目を上げない彼の華奢な背中を見た。

「ニノってさ、」

二人きりの楽屋に俺の声が響く

「七夕の願い事、なんて答えた?」

「俺?」

ニノが手を止めた瞬間、楽屋の扉が大きく開かれた。

「ニノー!終わったー!」
「あーばさん、お疲れ」
「ごはん行こー!」
「うん」

あ、タイミング、ミスったな

「松潤も行く?」
「や、俺はいいよ」
「ほんと?じゃあお先失礼するね!」
「うん、お疲れ様」
「松本さん、お疲れ」
「あ、ニノ、お疲れ」

ニノと相葉さんが出て行く

取材終わったニノがずっと楽屋にいたのって、相葉さんを待ってたからなのか

なんとなく脱力。


「あれ、松潤まだ残ってたの?」
「翔くん、お疲れ」
「ああ、お疲れ様…どうかした?」
「いや、別に」

翔くんは意味ありげに笑った

「今から相葉さんとニノと合流すんだけど、松潤も行こうよ」
「いや、俺はいいよ」
「なんか約束あんの?」
「ないけど」
「いてくれたら有難いんだけどさ?」

有難い?

「リーダーは?」
「今日来れないって」
「…なんで有難いの?」
「え?それ言わす?」

翔くんが笑い出す

「飲みの後に相葉さんと天の川でも観に行こうと思ってんだけど、ニノ回収してくれたらなっていう」

なんていたずらっぽく笑う

え、てか、これってチャンス?

ニノ回収して、俺らも天の川とか観て、いい雰囲気になって…?

「お願いしてもいい?」
「任せて」
「俺、今日、告白しようと思ってるからさ」
「え?告白?」
「うん。相葉さんに」
「そうなの?」
「それで相葉さん、飯に誘ったらいつの間にかニノ呼んでてさ」
「そうだったんだ」

さらっと告白宣言する翔くんがかっこよかった

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