あと3秒だけ。
第12章 お忍びデート。
私は何?というような顔で彩を見る。
『神田代理と一緒に働いてますよ〜!』
『あら、やっぱりそうなのね。よろしく伝えておいてねえ。あ、決まったらまた呼んでね。今日は、ごゆっくりとどうぞ。』
彩と私はぺこっと軽く会釈した。
『有紗〜、もしかしてここ。神田代理の取引先って知ってて選んだの??』
ズイッと身を乗り出し興味津々で彩は言う。
私はメニュー表から目を離さずに、
『え、まさか。ただ、来たかっただけだよ。』
と冷たく言った。
だって、本当に貴久さんの
取引先とは私は知らなかったんだもん。