あと3秒だけ。
第15章 ふたりの危機。
夕方、私は支店長に呼ばれ面談に挑む。
久しぶりに入る支店長室は、
ソワソワしてあまり心地いいものではない。
『ここに座りなさい』
『は、はいっ。失礼します。』
フカフカした黒いソファに腰をおろす。
『じゃあ面談を始めるよ。
最近、仕事はどうかね?
困ってることはないかい?』
『はい、困ってることは特にないです。
大丈夫です。』
『そうか。それは良かった。
うちの取引先の〇〇商事の事務員さんが、
上野さんの接客が素晴らしいと、この間お褒めの言葉を頂いたよ。これからも、窓口の顔として頑張ってくれな。』
『はい!頑張りますっ。ありがとうございます。』
『ところで上野さん。最近、世の中では何かとセクハラが話題になっておるが、セクハラを受けている人はこの職場にはいないかね?』
ーーー油断した。