あと3秒だけ。
第16章 人目を盗んで。
家を出て、
すぐに貴久の車の助手席に乗り込む。
『待たせてすいませんっ!』
『全然待ってないよ、行こうか』
『はいっ!』
そして、車はゆっくりと走り出した。
しばらく、車は走る。
『どこに行くの?』
『えー?いいところっ』
こうやって話してると、やっぱり安心する。
貴久といると私が私らしく居られる気がするの。
車は山道を登っていく。
車通りも少なくて、標高はどんどんと高くなる。
山道を走り20分程度。
『よし、着いたよ』
シートベルトをサッと外して車から降りる。
周りを見ると車は私たちだけ。
灯りがなく、車を降りると少し足場も悪くて
少し歩くとよろけてしまう。
『手、繋ご。』
貴久は、私の手を掴みゆっくりと歩いてくれた。
あぁ、私サンダルで来るんじゃなかったなあ。