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あと3秒だけ。

第16章 人目を盗んで。


少し歩くとベンチがあった。

先にベンチの上に『よっ。』と貴久が上がり

私も続いてベンチの上に立つ。


『よし、有紗。見てみて、ほら。』

『うわあ…きれい。』


そこから見える夜景は、

工場の明かり、街灯や、家の明かり…

ものすごく綺麗だった。

風も心地よくて、

少し肌寒く感じるくらいだった。


『ここ、連れてきたかったんだ。』


暗くて貴久の顔はくっきりと見えないけど、

貴久が微笑んでいるのはわかった。

しばらく2人は無言のまま夜景を見つめた。

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