あと3秒だけ。
第17章 愛してる。
そこには、
右耳と右肩でスマホを挟み
会話をしながら急いで服に着替えている貴久がいた。
貴久の、顔は今まで見たことがないほど
真剣で額からは少し汗が流れていた。
覗く私に気づかないまま貴久は
せっせと支度をし
『・・・はい、分かりました。今から急いで向かいます・・・!!!』
そう言うと電話を切ったようだった。
『貴久さん…どうしたの?』
『ごめん、有紗・・・っ、俺。行かないと・・・!』
『えっ、行くってどこに?』
時刻は21時を回っていた。
貴久は慌ただしく、
畳んでいなかったTシャツや下着などを
お泊まり用具に詰め込む。
貴久は私の質問に答えてくれない。
聞こえてないのかな…?