あと3秒だけ。
第17章 愛してる。
『貴久さん、今からどこに行くの?』
私の声に、貴久はハッとして私の元に来る。
『有紗ごめん。ちえみの陣痛が始まったみたいなんだ。今から送るから早く服を着て。』
早口でそう言うと、
脱ぎっぱなしにしていた私の服を取り
私に渡すと、貴久は戸締りを始め
テレビもクーラーも消した。
奥さん、陣痛始まったんだ・・・。
『・・・・・・』
『有紗、着替えてないじゃん!早くして!』
貴久は私の手から下着を奪い
立ち尽くす私を着替えさせ始めた。
『・・・・・・やだ。』
『え?何?』
『行かないで!!!』
私は貴久の腕を掴む。
貴久の顔は困ったような顔をしていた。
『行かないで・・・行ったらやだ。』