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第18章 貴久side2


『貴くんとの子どもが出来てから、あぁ、私。お母さんになるんだなあって実感が湧くまで意外と時間かかったの。でも、健診に行くたびに少しずつ大きくなる赤ちゃん、お腹を見て不思議とお母さんになる自覚と覚悟が湧いてきたよ。だから、初めての出産も怖くなかったよ!痛みなんてもう忘れちゃった!!だからね、だから。しょうごの顔、明日一緒に見に行こうね。』


そう言うとちえみはニコッと笑った。

続けて『だから私は大丈夫だよ。』と優しい声で言った。

ちえみは俺の気持ちを読み取れるのだろうか。


鼻からスイカが出るくらい痛い、とか

1度に何十本もの骨が折れる痛み、だとか

出産の痛みについて色んな例えがある。


そんなの、怖くて不安で痛かっただろうに。

自然に俺の目からは涙がこぼれ落ちた。

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