あと3秒だけ。
第20章 左手薬指。
『1つは、有紗に対しての罪悪感。俺の身勝手な気持ちで始まったカンケイなのに、俺のせいで今まで有紗をどれだけ傷つけて来たんだろう。・・・それなのに、そんなダメな俺に有紗は“愛してる”と言ってくれた。俺も有紗を愛してる。・・・だけど、あの日。そんな有紗を強引に連れて帰ってしまうほど俺は無意識に妻を優先してた。…・・・家族を。だから、有紗に会わせる顔がない。そんな俺が有紗を好きでいる資格はない・・・そう思ってたんだ。、』
『貴久さん.....』
貴久は続けて話す。
『もう1つの罪悪感は妻に対して。俺、夏に転勤にった時“久しぶりの独身生活を送れる”…そう、少し浮かれてた。転勤になる前の妻との関係に少し不満があって…。気づいた時には、俺は有紗が好きでカンケイも持っていて有紗への気持ちの方が断然大きかった。だけどあの日。俺は妻への本当の気持ちに気づいたんだ・・・。、』