あと3秒だけ。
第20章 左手薬指。
『本当に身勝手過ぎるんだけど、俺もう一度やり直そうって思ったんだ。2人目が生まれてから、俺は毎週末には、実家に里帰りしてる妻のところに行ってたんだ。空いた時間を少しでも早く埋めたくて…。気づくと、俺の頭の中の大半が“家族”で埋まっていたんだ。・・・・・・・・・有紗を愛してるって言ったけど、俺は・・・・』
私はぎゅっと強く貴久野手を握る。
『言わなくていいです。
私.....自分が1番に愛されてないことくらい
気づいてましたから。』
貴久の口からは聞きたくなかった言葉。
だから、あえて私は自分から言った。
貴久から言われると、
私もう今のこの状況に持ちそうになかった。