あと3秒だけ。
第21章 あと3秒だけ。
ふたりの間に沈黙が流れる。
『あの…神田代理っ』
先に口を開いたのは私。
きっと、これがきちんと面と向かって
話せるのは最後。
すぅっと息を吸い、心を落ち着ける。
『私、今までの自分が嫌いでした。自己主張とか苦手で、自分の意見を言うことすら引き目感じて。周りが良ければそれでいい。そう、思ってきてました。だけど、神田代理に出会って私は変われたんです。ありのまま、素直になっていい。そう、言ってくれたから私は自分に正直になれました。きっと、今までの私なら今こうやって話せてなかったと思います。話せず後悔して自分の殻に閉じこもったままだったと思います。』
視界が少しぼやけてくる。
泣くな、泣くな私。
『・・・ッ。私、あなたと恋してあなたを愛したこと後悔なんて一つもしてません。だって、私が変われたのはあなたとの恋があったから・・・。明日からまた味気ない日々に何事も無かったように戻るしかない。だけど、今までの私とはもう違う。素直になっていい、そう言ってくれたからこの際言いますね…』
ぐっと手に力をいれる。
泣くな、泣くな私。まだ、泣いたらダメだ。