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半ば強引ではございますが……

第1章 7月12日の夜10時

 嫁さんが買ってきたほうは、扇風機が当たると涼しげな音色が耳を撫でる。

 自分が買ったのを、鳴らしてみた。

 比べたらわかりますやん。目を閉じて格付けチェックしたかて、一発ですやん。

 108円と、何万もする高級なやつを比べるならわかるわい。

 300円クラスの風鈴に、天地の差がついてますやん。


 なんだろうね。店で聞いたとき、いい感じしたのに。

 嫁さんのは、余韻があるのよ。

 僕のは共鳴が薄い。まだ、グラスに入った氷を、ストローでかき回す方が、いい音がする。


 夕食のあと、ベランダに飾りました。せめて、自然の風で鳴らしておくれ。






 無風ですやん。


 ことごとく笑わせるなぁ。

 この時点で、自分の日記「ダラ話」に書こうと思った。

 しかし、思いもよらなかったことがおこった。


「いやいやいやいや! なんかおる、なんかおる、なんかおる」


 嫁さんが騒ぎだした。


 うちは大阪でも、わりかし田舎の方。虫でもいたのかと思った。


 よく見ると、なにか白くて丸いのが、モソモソしてんのよ。

「えっ!?」


 僕は、それを捕まえた。


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