君がいる風景
第15章 秘密の
あたたかくって、
優しいリズムを作ってくれて
どうにも目蓋が重くなってきて智くんに
ぎゅっとしがみついていく。
「…智…くん……ずっと…そばに…」
「傍にいるから。朝までずっとこうしてるよ。
だから、もうやすみな。」
「…ぅん…朝まで…そばに…いてね…」
智くんの穏やかな鼓動
ゆっくりと意識が薄れていって
夢の中で懐かしい人たちが笑ってくれてた。
じいちゃんとシロが仲良く散歩してる
俺に向かって手を振りながら優しい笑顔を
見せてくれて、シロもしっぽをぶんぶん振って
よろこんでるみたい
きっともう雷は恐くなくなるんだ
ぼんやりとそう感じてた
幼い頃の強烈なトラウマ体験は
きっと今夜で克服できてる筈
雷の落ちた嵐の夜、智くんが告白してくれて
智くんと初めてキスをしたこと。
最高にしあわせな出来事で上書きされて
人生の中で忘れられない大切な日になった。
あっ、あのことも…
智くんに告白しなくちゃ…
でも、…どうやって…
ふかいねむりの波が襲ってきて
そのまま朝までぐっすりと眠り込んでしまった。