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君がいる風景

第3章 歓迎会


「確かに、電車では眠り込んでたよ
だけど、揺らしたら起きてちゃんと起きて
歩きだしたんだ。」

「だったら、
もしかして強引に泊まらせろって迫ったとか?」

湯気のあがるヤカンからカップの味噌汁にお湯を
注いでくれる。話しかけたから手元が狂って
テーブルに少しこぼれたけど、すぐに拭かずに
先にお湯を注いで蓋をして
なかなか豪快なところもあったりするんだ。


「ううん、そんなこと言わないよ。
智くんはふらふら自転車置き場に行って
ものすんごく酔っ払ってるのに自転車に乗って
帰ろうとして、すっごく危なっかしくって」

「マジかよ…なにやってんだ」

「あと、祠の前で座りこんじゃったんだ」


記憶に全く無いのが情けねぇ…

「あのさ、俺なんな変なこと言ってなかった?」

「ううん、
この祠の神サマはすっげえパワーがあるんだって
言ってたかな」

「……………他には?」

「あとは笑ってたよ。すっごく楽しそうだった。
そこで寝転んだりしそうになったか
だから、俺んちまで連れて来たんだ」


手を合わせて律儀に頭まで下げて
いただきますって言ってから弁当を食べはじめる。
きっと躾がきっちりしてる家庭で育ったんだろうな。

コンビニ弁当でも、
翔ちゃんはものすごく美味そうな顔して食べるから
こっちまで箸が進んじまうんだ。


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