君がいる風景
第3章 歓迎会
「そこんところは覚えてるよ。
翔ちゃん、マジでいろいろ迷惑かけてごめん。
歓迎会の最後のほうは完全に記憶ねぇんだ。
俺、相当迷惑かけたんじゃねえ?」
「ううん、智くん上機嫌だったよ。
ノリノリで唄って踊ってたし、すっごく上手で
女子のみんなもキャアキャア言ってたんだよ。」
やっちまったのか
醜態を晒したくないって思ってたのに
最初にテキーラを頼んだ潤のことを殴り飛ばしたい気分だ。
「でも、智くんホントにカッコよかったよ。
あ、昼飯買ってきたんだ、食べれるよね?
まだキッチン道具とか揃えてなくてさ」
うな垂れた俺の様子を見てさりげなく話題を
変えてくれる気遣い。
それにしても
たぶん料理なんてあまりしねえんだろうな
レンジとヤカンと小さな鍋くらいで
キッチンにはほとんど調理器具なんてなかった。
最近1人暮らしをはじめたらしく
カップの味噌汁とのり弁にサラダ
2人分をテーブルの上に並べてくれる。
布団を畳んで部屋の隅によせておいて、小さな
テーブルで向かい合わせで昼飯の時間
「んでさ、
なんで俺翔ちゃんちに泊まってんの?
歩けねぇくらいふらふらだったとか?」
「うーん、足取りは、まあフラついてたけど
歩けないってことはなかったよ。
最終電車で帰ってきたしね、」
「そっか…じゃあホームで眠り込んだとか?」