君がいる風景
第4章 散歩
俺は、ずっと図書館にいる時から考えてた言葉を
思い切って口にしてみた。
「あのさ、今日俺んちでメシ食わねぇ?」
「えっ?いいの」
「たいしたもんは作れねぇけどさ
1人分も2人分もかわんねぇしさ
芋もらったし、蒸して食うときっと美味いぜ。」
「じゃあ、遠慮なく智くんの手料理ごちそうに
なります!俺も少しは料理覚えなきゃ」
駅前の自転車置き場まで来た時には
夕陽があざやかに西の空の雲を色づかせて
2人して空を見上げてた。
「あ、智くん祠にお参りするんだよね?」
「えっああ、うん。」
昨夜泥酔して記憶すら無くなってても
この祠の前に座り込んでたなんて…
この場所でひそかに願ってた祈りがこうして
叶って、今翔ちゃんと2人並んで手を合わせてる不思議。
マジでありがとうございますっ
こうして一気に距離が縮んで仲良くなれたこと
丸一日2人でこの町を散歩して過ごせたこと
自転車のシェアまでできるようになれたこと
小さな祠の神様に
盛大な感謝の気持ちを伝えておいた。