君がいる風景
第7章 嵐の夜に
暗闇の中で抱き寄せて、湿った翔ちゃんの髪を
安心させるように撫でてると携帯の着信音が聞こえてきた。
「携帯…鳴ってるよ。出なきゃ」
「うーんムリだな
今は翔ちゃんのこと抱きしめてて手が放せねぇ
大丈夫、また後でかけなおすよ。」
「智くん…だいすき…」
暗闇の中で頬を撫でて、
ひな鳥のくちびるを指先で探すようにして
人差し指の腹でぽってりした愛らしい感触を
確かめるように何度も辿っていく。
「翔ちゃん、も一回キスしていい?」
「…うん…んっ…んはぁ……」
好きで好きで好きな感情が暴走しそうになるのを
必死で抑え込みながら
優しく唇を重ねてキスして抱きしめてた。
ありがとうってつぶやいてから
ふるえる小さな声で
稲光と雷の子供の頃のトラウマを語ってくれた。
その間、俺の下半身の変化に気づかれないか
心配だったけど疲れと分け合ってるぬくもりとで
温まってきた翔ちゃんの身体から緊張が解けてきて
今にも眠り込みそうになってきてる。
「…智…くん……ずっと…そばに…」
「傍にいるから。朝までずっとこうしてるよ。
だから、もうやすみな。」
「…ぅん…朝まで…そばに…いてね…」