君がいる風景
第8章 告白
ちいさな寝息ゆっくりと伝わる心音。
愛しい相手をこんな風に眠りにつくまで抱いてた
ことなんてなかった。
いままで付き合ってきた恋人とは寝たい時に
眠り込んで、欲望のままに抱いて
面倒だって感じたら途端に冷めて距離を置いた
かなり自分勝手で冷めた付き合いばかりだった。
抱きついてる腕をおろそうとするとぎゅうっと
シャツを握りしめてくる。
まるで放さないでっていってくるような仕草に
鼓動が高鳴る。
「落ち着け、今はまずいだろう。」
宥め諭すように
下半身を沈めながら、放り出してた携帯のことを
思いだした。
着歴は自転車屋のかずんちからだった。
握りしめてた手から力が抜けた時、翔ちゃんの
身体からそっと離れて毛布から抜け出して
電話をかけなおすと
心配した様子の声が聞こえてきた。
「もしもし、智兄っ大丈夫?!
そっちのほうで雷が落ちたみたいだったから
心配で電話したんだから!!」
おふくろ同士が仲良くしてたおかげで
幼馴染みみたいにガキの頃はよく遊んでた。
かずの優しい顔を思い描きながら大丈夫だって伝える。
「今、うちじゃねぇんだ。
雨と雷がすごくって友達ん家で泊めてもらうことに
なったからさ。
かず、心配してくれてありがとな。」