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君がいる風景

第8章 告白



かずの声のトーンがすこし低くなった気がした。


「…そっか、だったらよかった。
もしかして、泊まってるの翔ちゃんち?」

「ん?…ああ、翔ちゃんち。」



かずんちで晩飯を食ってたあの夜は翔ちゃんとは
まだ単なる友達の距離だった。




嵐のような雷が鳴る大荒れの天気の夜


仕事帰り2人でここまでずぶ濡れで帰ってきて
泣きじゃくる翔ちゃんを抱きしめながら強引に
キスして告白までしてしまった。



でも翔ちゃんも好きだと言ってくれた
今夜、嵐の夜
2人の関係はえらく変わってしまった。




「…そっか、じゃあおやすみなさい」

「ああ、じゃあな、かず」



いつもより口数も少なくどこか抑揚のない声で
電話を切ったかず。

携帯をテーブルに置こうとしたら部屋の照明が点灯した。

相変わらず殺風景な部屋だけど
それがいかにも翔ちゃんらしいと思えた。

ハンガーを借りて濡れた2人の衣服を風呂場に干しておく。

敷布団もきちんと敷いてその上にそっと
横たえてあげると夢の中でも魘されてるみたいに
苦悶の表情を見せてるから、
もう一度抱きしめながら寝かしつける。


背中を優しくさすってやりながら
頬にくちびるでそっと触れると顰めてた眉が
元位置に戻っておだやかな寝顔になった。





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