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君がいる風景

第9章 出逢い 翔視点


その日の夕方
授業が終わって帰ろうとしてると、サークルの飲み会にさそわれた。
メンツが足りないからって
なかば強引に参加させられて遅くなった帰り。


駅の改札を出て
小さな祠に向かうとそこに朝置いといた自転車の
カギは無くなってて、
大きな柿が一つお供えされてて
その柿を重石にして、下にチラシの裏に書かれた手紙が添えてあった。



今朝のサメの自転車の鍵拾って供えてくれた人へ

ありがとうございました
マジでめっちゃ助かりました



のびやかで丁寧に書かれた文字
たぶん男の人だろうなぁって思える
力強さが込められてる文字のはらい方。

もしかしたら
これを書いてくれた人があの人ならなんて、
無駄な妄想が広がりそうになるから慌てて
それを振り払った。


手帳を切り取って返事を書いておくことにした。

近くの自販機にあの人がいつも買ってるココア缶が売ってあったから
それを重石がわりにしてメモを挟んでおいた。


明日は午後からの授業

自分が駅に来るまでにこのメモが無くなってたら、すこしだけ勇気をだしてみようかな



神様
どうか…
あの人がカギの落とし主であの人で
あの人と話せるきっかけをつくってください



そんな自分勝手な都合のいい願い事を小さな祠の
神様に手を合わせて真剣に祈ってた。




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