テキストサイズ

昭和回想録

第2章 少女・美幸






愛しさが増してきた美幸。

抱き合っているとドンドン好きになってくる。

今の思いは、明らかに性欲を上まっている。

心臓がジンッとくるような・・・。

まるで初恋にゆれた中学生のころの自分がいるようだ。

こんな気持ち。

久しぶりに感じた。

別れを惜しむように肩を持ちひきはなす。

まだまだ抱いていたいが時間が許さないだろう。

惜しむ気持ちは優しいキスで封印される。

激しさの無い優しいキスだ。

唇だけの。

唇がはなれると俺はパンツとズボンをはき

美幸を送り出す。


「気をつけてな。」


    「はい・・あの・・・また、してくださいね。」


言葉に燃える。

道路に出て送り出すが、やはり別れ惜しい。

あんなことがあったのだから。

徐々に小さくなってゆく美幸。

たまに振り返り小さく手を振る。

俺は答えるように大きく手を振る。

そんなことが角を曲がって見えなくなるまで

幾度も繰り返された。

美幸が見えなくなって、気持ちが落ち着いてくる。

やがて心の中にもう一人の少女の面影が。

そう、優子・・・。

いま俺の心の中には2人の少女が住みついた。

優子と美幸。

同時に2人の少女を愛してしまった。

でも、どちらかを選ぶなんてことはできない。

この先どうなるんだろうか。

分からない。

欲望と不安がうずまく。

木枯らしが吹くこの季節、俺は答えを出さないまま

店じまいをはじめた・・・。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ